「倍率」との向き合い方2021
2月15日(月)に今年度の公立高校入試の1回目の倍率が発表されました!
今回のブログでは「倍率」をテーマに
・そもそも倍率とは何なのか
・倍率を通してどんなことが見えてくるのか
・発表された倍率とどう向き合えば良いのか
を分かりやすくお伝えしていきます。
受験生はもちろん、来年度以降受験を迎える方もぜひ参考にしてください!
※数値はいずれも2021年2月17日現在のものです。
目次
倍率って何?
倍率2倍=2人に1人が合格する
倍率とはずばり「定員の何倍の受験生が受けるのか」を表す競争率のことです。
倍率が2倍といえば「2人に1人が合格する」を意味し、
倍率が3倍であれば「3人に1人が合格」ということになります。
埼玉県の公立高校入試の場合、普通科の平均倍率が約1.15倍となっており1.3倍を超えると激戦と言われています。
例えば「募集人員が300人の高校に390人の志願者が集まった」…これが「1.3倍」です(300×1.3=390)
この場合90人は不合格になる訳ですから決して楽な戦いではないことが分かります。
尚、今年度の普通科の倍率を総数で見てみると現時点で
募集人員…26,479人
志願者数…30,169人
のため倍率は1.14倍となっています。
これはつまり約3,600人は不合格になってしまうことを意味していますので、こう考えるとやはり高校入試は最後まで気を抜けないという実情が倍率を通して見えてきます。
志願先変更とは?
公立高校入試には「志願先変更」を設けている都道府県が多くあります。
これはその名の通り、一度だけ受験校を変えることができるというルールです。
埼玉県はかつて二度の変更期間を設けていた時代がありましたが現在は「1回のみ」で落ち着いています。
この志願先変更を経て最終的な「確定倍率」が決まります。もちろん「変更しない」という選択を取ることも可能です。
今、倍率はこうなってる!①
偏差値50近辺の人気校でまさかの定員割れ
大宮南高校、久喜北陽高校、桶川高校…いずれも偏差値50近辺で毎年人気のある高校ですが、今年はなんと1回目の倍率で1.0を下回る「定員割れ」という結果になりました。
今年度 | 昨年同時期 | |
大宮南 | 0.97 | 1.21 |
久喜北陽 | 0.99 | 1.07 |
桶川 | 0.87 | 1.03 |
なぜこのような現象が起きたのでしょうか。
その主な原因の一つに「私立高校の人気が上昇したから」という点が挙げられます。
私立高校の人気が上昇
この表の通り、実は今年度はここ20年で最も「私立単願生」が多い年でした。
☆私立単願とは…
公立高校や他の私立高校を受験せず「あなたの高校しか受けません」と高校側と約束したうえで受験するスタイル。メリットとしては
1.1月に受験を終えられる
2.受験科目は原則として国数英の3科のみ
3.1つ上のレベルの高校やコースに受かりやすくなる
等が挙げられます。
特に3.について、大学進学を踏まえ少しでも上位の高校やコースに行っておきたいと考える方がこの点に魅力を感じ、結果的に私立の人気上昇・公立の定員割れに繋がったという印象です。
確かに私立単願の方がレベルの高い高校に行きやすいのは事実です。
しかしその高校が本当に自分の行きたいところなのかどうかは全く別の話です。
「この高校でこれを学びたい!」
「この部活に入りたい!」
といった明確な理由があれば後押しするべきですが、
「入りやすいから」
「早く受験が終わるから」
という単純な理由で決めてしまうのはリスクが高いということを中2以下のご家庭には今のうちから心に留めておいて欲しいと思います。
また、試験科目も国数英のみと公立入試に比べハードルが低いのが特徴ですが入学後は当然のことながら理科の授業も社会の授業も定期テストも行われます。
そう考えると入試が終わった後も(終わった後こそ)勉強の習慣を切らさずコツコツとやり続けることの重要性は変わりません。
ブームに流されず、本当に自分のやりたいことと合致しているかを常に意識することが大切です。
今、倍率はこうなってる!②
「理数科」が激戦に
大宮高校、川口市立高校、市立大宮北高校、越谷北高校…いずれも「理数科」を設けている高校ですが、昨年度と比べて軒並み倍率の上昇が見られました。
今年度 | 前年同時期 | |
大宮 | 2.68 |
1.93 |
川口市立 | 2.05 | 1.48 |
市立大宮北 | 2.43 | 2.20 |
越谷北 | 1.75 | 1.40 |
なぜここまで理数科に人気が集まっているのでしょうか。
その背景には「理系の方が就職に有利だから」というイメージが広く浸透していることが挙げられます。
高校・大学は就職のためではなく学ぶための場所
「リケジョ」という言葉が生まれて久しいですが、昨今のAI技術の発達や普及も相まって「理系ブーム」の流れは今後更に加速していくことが予想されます。
確かに高校から理系を選択しておけばその分就職先の選択肢は広がるかもしれません。
しかし大前提として忘れてはいけないのが、
高校も大学も就職のために行く場所ではないということです。
高校や大学に通う本来の目的は就職することではなく「学ぶこと」にあります。
そして高校→大学に上がるにつれてより専門性が高まり自分が本当に学びたいものに費やせる時間も長くなります。
「自分のやりたいことに対して悔いなく没頭することができた!」
「全力でエネルギーを注いだ!」
もしかしたらその経験は直接的に就職に有利に働くものではないかもしれません。
しかし
「本当は文系に進みたかったけど就職に有利だから理系を選んだ…」
「大学では文学の研究に没頭したかったが就職が心配で工学部に進むことにした…」
このような気持ちで過ごす学生生活は果たして悔いのない有意義な時間と言えるでしょうか
後ろめたさを感じながら学生時代を過ごした人よりも、
やりたいことに全力で取り組んだ人の方が実社会で活躍できる可能性は間違いなく高いです。
先ほどの私立単願の話と同様、ブームに流されず、本当にやりたいことは何なのかを考えながら進路を選択することが大切です。
倍率との向き合い方2021
以上の内容を踏まえ、最後の章では倍率とどのように向き合えば良いのかをまとめていきます。
ずばり結論から申し上げますと、
倍率は、
一通り確認したらあとはもう気にしなくて大丈夫!
というのが私たちの本音です。
なぜなら倍率=「自分の力では変えられないもの」「どうにもならないもの」だからです。
倍率は自分でコントロールできないもの
例えばある受験生が
「本当はA高校を受けようと思ってたけど予想以上に倍率が高かったな…あ、でも同じくらいのレベルのB高校は定員割れが起きている。よし、A高校からB高校に志願先変更しよう」
と考えたとします。
合格の可能性を少しでも上げるため競争率の低い高校に変更するのは一つの手かもしれません。
しかし、同じことを考えている子が他に100人いたらどうなるでしょうか。
もしかしたら倍率が逆転してしまうかもしれません。
あるいはただの取り越し苦労で何事もなく現状維持となるかもしれません。
つまり、どうなるかは蓋を開けてみないと分からないのです。
そんな不確かなものに注意と意識を奪われるよりも、今できること・自分の力で変えられるものに専念した方が間違いなく得策ではないでしょうか。
受験に限らず、世の中のあらゆる物事は「自分でコントロールできるものとできないもの」に分けることができます。
例えば「今度の日曜日の天気」は誰もコントロールすることができません。
しかしそれに対してどんな反応をとるかは自分の意思で決定することができます。
「ちくしょーなんで雨なんだよ…ついてない日だな…」と嘆くのも自由。
「今日は雨だから家の中でずっと読もうと思ってた本を読む日にしょう!」と有意義に過ごすのも自由。
どちらも自分の意思で選択することができます。
このように自分でコントロールできる領域のことを「影響の輪」といいます。
倍率もこれとよく似ています。
倍率の数値そのものは自分の力で操作することはできません。
しかし発表された倍率に対してどう向き合うか・どんな行動を取るかは自分の意思で選べます。
予想以上に高く出た場合でも「ああもうダメだ…」と嘆くのではなく「ライバルたちに負けないよう頑張ろう!」とプラスに捉える。
低かったとしても「ラッキー!余裕余裕♪」と油断するのではなく「志願先変更後に上がるかもしれないから気を緩めず頑張ろう!」とモチベーションに変える。
これらはすべて影響の輪の中にあります。
どんな倍率が出たとしても合格という目標に向けて全力を尽くしていく。
一通り確認したらあとは自分でコントロールできることに専念する。
そんなアップステーション式「倍率の向き合い方」を、今日も受験生たちに伝えています!