国語の改訂ポイントは全部で3つです。

①語彙(ごい)の量が増える

②「対話×資料」のコンビが定番に

③読んだ内容をどうまとめるか

☆番外編☆作文・小論文をうまく書くコツ

 

一つずつ詳しく見ていきましょう!

 「語彙(ごい)が豊富な人」「ボキャブラリー豊かな人」といえば、「色んな言葉を知ってる人」や「それを正しく使うことができる人」を表します。

 本来日本語は諸外国語と比べて「語彙が豊富な言語」という特徴を持っています。

 例えば “自分” のことを表すとき英語では ” I ” しかありません。男性も女性もお年寄りも子供も、性別・年齢を問わず ” I ” 一択です。

一方日本語には「わたし」「ぼく」「おれ」「自分」「わたくし」と多くのバリエーションがあり、相手の呼び方も「あなた」「君」「おまえ」「〇〇ちゃん」等様々です。

自分のことを「わたくし」と呼ぶ人はどことなく育ちの良さを感じさせますし、相手を「君」と呼ぶ場面においては両者の間に何らかの上下関係が働いていることが伺えます。

 このように、呼び方一つで様々な背景を察知することができる、そんな機能を持つ言語は日本語の他にありません。私たちの母国語が持つ非常に奥深い魅力の一つと言えるでしょう。

 ところが、近年この語彙力の低下及びそれに伴う読解力・コミュニケーションスキルの低下が問題視されています。

 例えばSNS上で映画の感動を伝えたいのに的確な表現が見つからず

 「やばい…あれは本当にもう…(語彙力w)」

 で片付けてしまったり、何か困り事があって助けを求めたい時も

 「やばい…どうしよう、もうやばい…」

 と曖昧な表現に終始してしまったりという場面を多く目にするようになりました。

 これでは自分が感じたせっかくの感動も相手に伝わらず、また、相手もどうやって手を差し伸べればいいのか分かりません。

良いことも悪いことも感動したことも驚いたことも全て「やばい」で片付けられてしまう…これはとってももったいないことであり「不便」なことではないでしょうか。

 そこで、新しい教科書では語彙力の向上・強化をねらった内容に再編されることとなりました。

 例えば「驚き」という言葉一つを取ってみてもそこには約70もの類語があります。語彙が増えれば言葉の引き出しが増え、その中から自分の気持ちにぴったりのフレーズを探し出すことができるようになります。そしてそれは日本語の魅力を再確認することにも繋がります。

 将来社会に出た時、いわゆる「話し言葉」や「学生言葉」ではなく正しい日本語を使える人材を育成したい。そんな意図が今回の改訂には込められているのです。


 国語の問題といえば文章を読んでから各問に答えるという形が主でしたが、近年の国語の入試問題でよく見られるのが「対話文と資料の両方を読み取って答える問題」です。

 ここでいう「資料」とは棒グラフ・円グラフ・統計表などを指します。これまでも「説明文問題」の中にこれらのような資料が含まれることがありましたが今回の改訂でその傾向がより顕著になった形です。このタイプの問題を解くには読解力だけでなく資料を読み取る力、すなわち数学や社会の能力も同等に求められます。その意味ではこれもまた合教科型の一種と言えるでしょう。

 また、本文も既存の文章や実在する書籍からの抜粋ではなく出題用に書き下ろされた対話文が用いられるケースが増えており、「この時〇〇さんはどのような発言をしたと考えられるか」といった問題が出されます。

 これを解くには登場人物の立場にたって物事を考える力、文脈からその場の雰囲気を読み取る洞察力、すなわち「小説文」の読解に通ずる力が求められます。

 つまり、「対話×資料」の問題は「小説文の要素」と「説明文の要素」を掛け合わせたいわばハイブリッド型の問題と言えるのです。


 文章を読むだけでなく、読んだ内容をどうまとめるか、また、まとめた内容を相手にどう伝えるかも新教科書の主要なテーマです。

 中でも中1の教科書の冒頭で「マインドマップ」や「ベン図」等具体的な思考整理ツールが紹介されているのは注目すべき点です。ビジネス本でもマインドマップをテーマにしたものは数多く出版されている程です。

 2021年度以降は国語の授業で「本文を読んで感じたことをマインドマップで整理してみよう」「本文に登場したA君とB君の共通点・相違点を図に描いてまとめよう」このようなやり取りが行われることが予想されます。


 高校入試はもちろん、大学入試でも欠かせないのが作文・小論文対策です。

 実際に原稿用紙を前にすると「何を書いたらいいかわからない」「何を書いても原点される気がする」という子は少なくありません。

 文章を書くことに苦手意識を持つ中高生へ、ここでは「得点できる書き方」をお伝えします。

 ずばり!コツは次の2つです

①「いつ・どこで・何を・だれに・どれくらい」を具体的に書く

 

×部長として部員をまとめました

〇吹奏楽部の部長として24人の部員をまとめました

 

×タイムが上がりました

〇100メートル走のタイムが2秒縮まりました

 

×毎日頑張って練習しました

〇走っている姿をビデオで撮影し、自分のくせを理解しました

 

②「自分自身が何をしたか」を示す

 

×先輩や監督の励ましのおかげでつづけられました

〇毎朝公園で自主練習をしました

 

×コンクールで受賞した先輩方を見てすごいなと思いました

〇先輩方よりも良い成績を残せるようオンラインも駆使して自宅練習に励みました

 

×クラス皆で修学旅行に行きました

〇修学旅行を通して私は当時の建築技術の高さに興味を持ちました

 

 この2点を抑えるだけで文章の質(分かりやすさ・伝わりやさ)はグンと上がります。

 特に「自分の体験を踏まえて」というタイプの問題で求められるのは「課題や困難を解決した(しようとした)自分の体験談」に他なりません。部活でも趣味でも、夢中になって取り組んできたものなら壁にぶつかりながらも乗り越えた経験があるはずです。その時のことを思い出し、コツを意識して書けば満点も決して夢ではありません。

 作文や小論文は訓練を重ねることで必ず書けるようになります。ただ、厄介なことに自己採点がしづらいという難点があります。自分の書いた文がどれくらいの出来なのか分からない…そんな時はぜひ塾の力を利用してくださいね。

 次回は「理科編」をお届けします!乞うご期待☆