全国学力調査の結果が公表されました
9月29日に、今年の4月に行われた「全国学力調査」の結果が公表されました。毎年4月に小学6年生と中学3年生を対象に全国の小中学校で行われるテストです。
科目は国語と算数(数学)の2科目で、それぞれA問題(基礎問題)とB問題(応用問題)を解いていきます。
学力調査の目的は以下の通りです(教育委員会HPより)
義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況 を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、そのような取組 を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。 また、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。
…要は、
「全国の小中学生の学力をはかるテストを実施して、その結果を分析して、学校の授業の改善に役立てます」
というのが目的です。
ニュースなどで見る「〇〇県の子どもたちが一番勉強が出来る」は、この調査結果をもとにしています。
それでは、全国平均と比べて埼玉県の結果はどうだったのでしょうか。
埼玉県は全国平均を下回る結果に
埼玉県教育委員会のホームページに結果が公表されています。
ご覧の通り、残念ながら埼玉県は2年連続で全国平均より劣っているという結果でした。
ここで大事なのは、低かったという「結果」よりも、それがなぜなのかという「原因」を知り、自分たちが取るべき行動が何かを考えることです。
なぜ埼玉県の結果は全国平均よりも低かったのでしょう。
埼玉県が全国平均よりも低い理由…宿題が出なくなる!
学力調査ではテストを実施するだけでなく、普段の学習についてのアンケートも行われます(これを学習状況調査と呼びます)
以下の表はその抜粋です。
この表から、埼玉県は学校以外では全く勉強しない子の割合が高いことが分かります。
ところで、学習状況調査では「生徒への質問」の他に「学校への質問」も行われます。次の資料はその結果です。
この質問事項の2と4が「宿題」に関するものなのですが、埼玉県は全国平均と比べ小学生へはちゃんと宿題を出しているものの中学生になるとその割合が著しく下がる、つまり中学生にはほとんど宿題が出されていないということが分かります。
国語を見ると小学校88.6%に対し中学校では39.1%です。
同様に、算数(数学)も90.0%から43.4%と大幅に下がっています。
実際、私たちも保護者面談の際に「小学校の先生の方がよっぽど面倒見が良かった」という話をよく聞きます。
宿題がちゃんと出されていないのだから、さきの「学校以外では全く勉強しない子」の割合が高いのもうなずけます。
反復練習は授業ではなく宿題で
一方、質問事項5を見ると計算問題などの反復練習は全国よりもよく行われていることがわかります。
これは一見良いことのように思うかもしれませんが、実は違います。
本来、計算問題の反復は授業中ではなく宿題で行われるべきなのです。なぜなら自宅でもできることだからです。
「学校で解き方を教わり、その反復練習を宿題で行う。」これが本来の姿です。
宿題が出ていない、つまり反復練習をやっていないということは、その分だけ学校の授業でやらなければいけない状況になっているのです。
基礎力が大事だ~と言って部活で筋トレばっかりやらされているようなものです。
先生側からしたら楽なのかもしれません。しかし、子どもたちは新しい知識を学ぶために学校に来ているはずです。退屈な反復練習ばかりやらされていては当然学習意欲も損なわれます。
筆者も中学生の時、前の授業で習った方程式の計算問題を1時間ひたすら授業中に解かされたことがありました。その授業は本当に退屈で、「こんなの家でもできるのに…」と思いながらただ時計の針が進むのを待っていた覚えがあります。
中学校の先生方には、今回の調査結果を受け学校の授業時間の使い方や、学校以外での勉強の仕方を考えてもらいたいと強く思いました。また小学生、特に6年生のご家庭へは、中学進学後にはこのような現状が待ち構えているということを、今のうちから知っておいてほしいと思います。
アップステーションでは宿題を日割りで出しており、毎日反復練習を行わせていくよう指導にあたっています。
今回の調査結果を受け、日割り宿題の必要性をより一層強く感じました。