令和4年度 埼玉県公立高校入試問題分析
2月24日(木)に行われた令和4年度埼玉県公立高校入試
アップステーションでは毎年全教科の問題分析をしており、今年度のものが完了したためこのブログでご紹介したいと思います!
新中3生はもちろん、1・2年生及び保護者の方々も
「今の入試はこんな問題が出るのか」
「こういう対策をしていけば良いんだな」
と、新たな気付きを得てもらえれば幸いです。
尚、入試問題は以下の
のページより閲覧できます。是非実際の問題と照らし合わせながらご覧ください☆
目次
国語 ~熟語知識と作文の強化を~
ザックリ言うと… |
大問1 小説(26点):
・標準レベルの問題です。普段から人物の心情を読み取る練習をしておきましょう。
大問2 語彙・文法(24点):
・熟語が多く出題されます。読みだけでなく、その「意味」「使い方」「構成」も含めて知識を増やしておきましょう。
・文法は品詞分解の問題でした。文節・単語の区切り、品詞の見極めが重要です。
大問3 説明文(26点):
・こちらも標準レベルでした。「○○という言葉を使って~」と指示がありますが、これは問題を解くヒントになります。
本文内容を端的にまとめる練習が必要です。
大問4 古典(12点):
・現代仮名遣いに直す問題はほぼ100%出題されます。確実に取りましょう。
・主語を意識して読み進めると内容把握も捗ります。
大問5 作文(12点):
・資料から読み取れる内容を正しく記載しましょう。意見のなかでは自分の体験を必ずふまえること。
実際にそんな体験をしたことなくても作り話でOKです。それも「作文」です。
・原稿用紙の使い方は確実に。
数学 ~難易度UP!基礎計算の徹底とケアレスミス撲滅!~
ザックリ言うと… ☆難易度が上がりました。平均点は例年より下がりそうです。 ☆新しいパターンで「先生と生徒の会話を読みとる」という出題形式があります。 ☆大問3で「確率と関数」の融合問題が出題されました。 |
↑確率がメインとなる大問の出題は過去6年分の過去問題にはありませんでした。
大問1 小問集合(65点):
・(1)~(8)までは基礎計算問題でした。ここで32点をしっかり確保したいところ。
ケアレスミスに要注意!その1点が合否を分けます!
・(9)~(16)が例年より少し難易度が上がった印象です。
昨年度範囲外だった「円周角」や 「標本調査」、新しい単元である「箱ひげ図」といった問題が目立ちましたが、基本レベルの問題ですので練習しておけば心配ありません。
大問2 小問集合(10点):
・(1)は作図問題。久々に√2が絡んだ作図でしたので少し難易度高めでした。
・(2)は図形と関数の融合問題。全体的に大問1より難易度が高いので、ここを取れるかどうかで大きくレベルが変わるでしょう。
大問3 確率と関数の融合問題(14点):
・確率と関数の融合問題。先生と生徒の会話を読み取らなければなりません。
順にきちんと読みすすめれば、さほど難易度は高くありません。
大問4 図形(11点):
・(1)は基本的な証明問題でした。ワーク等で十分に対策が取れます。
・(2)は相似の問題。難易度高め。捨て問としてしまうのもありです。
数学(学校選択問題)
ザックリ言うと… ☆同じく「先生と生徒の会話」を読ませて考えさせる問題が出ました。今後のトレンドとなりそうです。 ☆全体的に問題が難しい。取れるところをしっかり取ることが大事。 ☆今年の入試は数学の出来が大きく合否に影響を与えたと考えられます。 |
大問1…小問集合(43点):
・難易度が総じて高めです。基礎計算も複雑なものにされています。
とはいえ「学校選択」を受けるレベルの子たちはここを落とすと致命的。
大問2…小問集合(12点):
・(1)は作図。同じように√2が絡んだ作図でした。
・(2)は図形と関数の融合問題。ワーク等で「応用問題」を多く解いて練習しておく必要があります。
大問3…確率と関数の融合問題(17点):
・解き方を丸覚えだとこのような問題で手こずります。会話の読み取りも必要です。
いかに公式や図形の性質などの知識を使いこなせるかがポイントになりました。
大問4…平面図形(11点):
・学校選択問題を受ける子のレベルから考えると(1)の証明はサービス問題です。(2)も極力取りたいところ。
大問5…空間図形(17点):
・(3)が超難問。(1)(2)の出来次第で差がつくところでした。
社会 ~一問一答!地理・歴史・公民3分野すべてでキーワードが問われる!~
ザックリ言うと… ☆単純に知識を問う問題が出ているので、地理・歴史・公民それぞれの基礎知識を増やしておくことが重要です。 ☆ただしその知識を使って考える問題が多く、高得点を取るためには「思考力」が必須になります。 |
大問1 世界地理(14点):
・例年通りの出題です。大陸の名前を問う問題、資料を読み取る問題など、過去問題や北辰テストで形式慣れしておけばしっかり取れます。
・大陸・海洋・州の名前、世界の気候は必須知識です。
大問2 日本地理(15点):
・こちらも例年通りで、雨温図の問題・資料の読み取り問題・地形図の問題といった出題はいつも通りでした。
・ただし問3で「会話」を読んで考えさせる問題が出ており、ここが一つ差のつくところになりました。
大問3 歴史前半(16点):
・例年通りの出題でした。今のうちから時代ごとのキーワード・人物・出来事を把握しておけば難易度は易しめです。
大問4 歴史後半(17点):
・大問3と同様、歴史の知識が身についていれば容易です。
思考力が問われることもほぼ無く、社会では大問3・4が点数のねらい目になりそうです。
大問5 公民(23点):
・一番変化が見られた箇所でした。問3、4は思考力を問うものでした。
まず問題文をしっかり読み込むこと、そのうえで資料や図を上手に利用すること。なかなか難しかったと思います。
大問6 ミックス問題(15点):
・総合問題といった形での出題でした。歴史の並び替えや資料の読み取り問題など、知識のみで解けるような問題は少なかった印象です。
理科 ~実験レポートの読み取りが必須!~
ザックリ言うと… ☆基本的な知識は大前提となります。その知識をいかに活用するかがポイント。 ☆「レポート」や「会話」で問題文自体が長く、しっかりと問題文を読み込む力が重要になります。 ☆あまりワーク等で見かけないような難問もちらほら。その場で解き方を考える力が必要とされました。 |
大問1 小問集合(24点):
・用語など基本的な問題構成。毎年出題される「化学反応式」を書かせる問題は小問での出題だったこともあり基本的な反応式でした。
大問2 地学分野:中3天体(19点):
・昨年度は出題範囲外となった中3の天体からの出題。用語など基本的な問題はぜひ取りたいところです。
・一方で問題文が授業中の会話で構成されており、その会話をしっかり読み取らないと問われていること自体がわからない問題も。読解力の強化を。
大問3 生物分野:中2人体(19点):
・一番取り組みやすい問題だったと思います。
この単元の基礎知識があれば問題なく解けました。知識量で大きく差がつく箇所でした。
大問4 化学分野:中1気体(19点):
・大問2と同じように気体の性質を覚えていれば答えられる基本的な問題が出されています。
一方で、課題のレポートと生徒の会話を読んで理解しないと解けないような問題も出されました。
大問5 物理分野:中3力(19点):
・ここが一番知識だけではどうにもならない問題になりました。問1は「レポート」を読み取りグラフを描く問題、以降は知識のみで答えられる問題はなく思考力を問う形式でした。難易度は総じて高め。
・実験から結果や答えだけを求めるのでなく、「何が考えられるのか」を普段から意識して取り組む必要があります。
英語 ~読解重視!単語の量が合否を分ける!~
ザックリ言うと… ☆英語が苦手な場合、大問1のリスニング・大問2の単語・熟語が点数を狙いやすいところ。 ☆大問2~5のベースは読解なので、文章を読めるようにしないと厳しくなります。 ☆大問4・5で英作文(合計10点)があるので基本的な文章は書けるように。 ☆得意・不得意で一番差の付きやすい教科と言えるでしょう。 |
大問1 リスニング(28点):
・出題方法や難易度は例年通り。リスニング対策は英文を聞く以外ありません。
英文を声に出して読む、ALTの先生の話を聞くなど、英文を耳にする機会を増やしましょう。
大問2 語彙問題(13点):
・今までは単語4つでしたが、今回は初めて「単語3つ+文の一部1つ」の構成でした。それに伴い、文の一部が4点となり、全体の点数が1点増えました。
・単語は「enjoy」「kinds」「June」、文の一部も「bring a bag」でしたので、基本的なレベルであることに変わりはありません。基本的な単語・熟語を覚えておくのは必須です。
大問3 読解問題:レポート単文章(18点):
・問題の形式は例年通り。並び替えの問題では、新しい単元になった「現在完了進行形」が出題されました。
大問4 読解問題:会話文複文章(29点):
・会話文が4ブロックで出題される問題で、とにかく読む量が多いです。
ただ、各問はそこまで難しいわけではなく、内容が把握できれば答えられます。
・最後に短めの英作文(4点)の出題があります。
大問5 読解問題:メール単文章(12点):
・メールを読んで答える問題。問われているものはそこまで難しくはありません。
・最後に「将来の夢」についての英作文(6点)の出題。
・読解は「読めれば解ける、読めないと何もできない」という極端な結果になります。単語量が合否を分けると言っても過言ではありません。
英語(学校選択問題)
ザックリ言うと… ☆とにかく読む分量が多いうえに新しい単元の文法もバンバン出ていました。このぐらいのレベルにしないと差がつかないので今後もこのような「難化」が続くでしょう。 ☆それでも英検準2級や2級を取っているレベルならそこまで難しさは感じないため高得点が狙えます。学校の勉強以上のことを対策として取り入れておきたいところです。 |
大問1 リスニング(28点):
・出題方法や難易度は例年通り。
大問2 読解問題:会話文複文章(28点):
・偏差値60以上であればそこまで難しくないものでした。また並び替えの問題では、新しい単元になった「原形不定詞(help O do)」が出題されました。
大問3 読解問題:レポート単文章(34点):
・字が小さく読む量が多いです。また穴埋めの問題では、新しい単元になった「仮定法」が出題されました。
・一番最後の問6で要約の穴埋め問題が出ますが、これは本文中の単語がそのまま入ることはありません。
本文の内容を理解した上で「言い回し」や「主語と目的語関係を逆にする」などのひねりを加える必要があります。
大問4 英作文(10点):
・英文を読み40~50語で考えを書かせる形式です。内容も「調べものをするときにネットを使うのはどうか」というよくあるテーマだったので、比較的取り組みやすかったと思います。
まとめ ~「会話の読み取り」は今後のトレンド~
以上今年度の公立高校入試の分析結果をご紹介してきましたが、全教科に共通して言えるのは
「読まなきゃ解けない!」
ということです。
もちろんこれまでも年を追うごとに読解量が増え、
「理科・社会はもはや暗記科目とはいえない!」
「問題文が長くてなかなか問題にたどり着かない!」
そんな傾向が見られていましたが、この動きが一気に加速した形となりました。
特に「先生と生徒との会話問題」は今後のトレンドになる可能性大です。
この背景にあるのは「大学入試改革」と「教科書改訂」の2つの改革です。
“これからの社会で役立てるよう、単純な知識の吸収だけでなくそれを活用できる人になろう“
という国(文科省)の方針のもと打ち出された改革がそのまま入試問題にも反映された形と言えるでしょう。
これからの入試に対応していくには、
問題文を読んで
・どこまで理解できたのか
・どこが理解できなかったのか
・自分はどう考えたのか
・なぜそう考えたのか
このようなアプローチを通して読解力や思考力を身に付けていくことが欠かせません。
そしてそれをやり続けたからこそ、アップステーションは難化の進む公立高校入試においても今年「合格率96.6%」という好結果を出せたのだと思います。
新中3生の皆さん!来年の入試も「個」に特化した指導を通してしっかりサポートしていきますので一緒に頑張っていきましょう。目指せ第一志望合格!