新大学入試の全容vol.3 ~センター試験の後継「共通テスト」~
第2章 「共通テスト」にはどんな問題が出るの?
まずはセンター試験の後継となる「共通テスト」ですが、気を付けておきたいのが従来のセンター試験は主に「知識・技能」を測るものであったのに対し、共通テストではその次の段階「思考力・判断力・表現力」まで測るテストになるということです。
ということはつまり、出題される問題のレベルが難しくなるということです。正確には、単に知識を暗記しただけでは解けない問題が増えるということです。
その象徴が「記述問題」です。
今までは全て「マークシート」での解答でした。それもそのはず、50万人が受けるテストですからいちいち人の手で採点していたら膨大な時間がかかってしまいます。
共通テストでももちろんメインはマークシートではありますが、それに加え「国語と数学の問題で記述問題を3問程度出題する」ということが発表されておりサンプル問題も公表されています。
ところで、記述問題が導入されるのはなぜ国語と数学だけなのでしょう。
意外と知られていないのですが、それは理科・社会は高校では必修科目ではないからです。いわゆる文系の子は物理を取らないですし理系の子は世界史を取りません。履修した子とそうでない子の間で不公平が生じてしまう…だから国語と数学のみ記述を行うということなのですが…
これ、逆に言えば理科と社会も必修になれば記述問題出しますよということです。
そして文科省はまさに今その方針で動いています。おそらく2024年度以降の共通テストでは国語と数学以外でも記述問題が出てくるでしょう。
なぜ2024年度以降なのか。
それは、実は2020年度から始まる共通テストはまだ「先行実施」という位置づけで、「本格実施」が始まるのは2024年度以降だからです。
2020年度は「先行実施」 2024年度から「本格実施」
2020年度はセンター試験が廃止される初年度であることは先に述べた通りですが、この年から行われる共通テストを、文科省は「先行実施」と位置付けています。そして2024年度以降を「本格実施」とすると発表がありました。
というのも、2020年度を皮切りに新しい学習指導要領(次期学習指導要領)の実施ラッシュが発生するからです。
2020年度にはまず小学校で次期学習指導要領が実施され、
2021年度には中学校、
2022年度には高1、
2023年度には高2、
2024年度には高3で実施されます。
学習指導要領が変わるということは教科書もカリキュラムも授業時間数もガラリと変わります。当然入試問題も変わります。この改訂が2024年度で一通り終わるので、そこからようやく共通テストは「本格実施」となります。例えば理科・社会が必修科目になっていてもおかしくありません。
いずれにせよ、「本格実施」以降は国語・数学以外の教科でも記述問題が導入されていると見て間違いないと思われます。
「先行実施」は今の中3生から、そして「本格実施」は今の小5生からです。
しかもこの学年は、高校入学後は毎年「次期学習指導要領の初年度生」にあたるという境遇に置かれます。vol.1の冒頭で小学5年生にも関係があると記したのはこのためです。
また、今の高1はセンター試験を受ける最後の学年になります。万が一受験に失敗すると翌年共通テストを受けなければなりません。当然準備の仕方も違ってきますので、この学年は「絶対に浪人しない」という覚悟と注意深い受験計画が必須になります。
本格実施ではどんなテストが出されるのかについての発表はまだありませんが、先行実施の方は問題サンプルも含めてある程度の内容は明らかになってきました。次号で詳しく見ていきたいと思います。
~まとめ~
・共通テストは「思考力・判断力・表現力」までを測定
・国語と数学ではセンター試験にはなかった「記述問題」が3問ずつ出題
・先行実施は今の中3生から、本格実施は今の小5生からスタート