小学5・6年の英語で使われる教科書「We Can!」

2018年度(平成30年度)から小学校で本格的に英語の授業が始まります。

既にご存知の方もいるかもしれませんが、この「改革」がなぜ今このタイミングで始まるのか、どんな授業になるのか、中学生・高校生にはどんな影響を与えるのかについて、前半・後半の2回に分けて詳しくお伝えしていきたいと思います。

まずはざっくりと全体の概要から見ていきましょう。

小学5・6年生で英語が正式な「教科」に

これまでも小学校で英語の授業は行われてきました。が、それはあくまでも英語に「親しむ」ことを目的としたものでした。

内容もゲームや会話が中心で、正式な教科ではなく「外国語活動」という位置付けでした。

この授業が、2018年度からは「学ぶ」ことを目的とした正式な「外国語」という教科へと変わります。ついに英語も国語や算数と同じ土俵に上がることになったのです。

また、従来の「外国語活動」は小学3・4年生で実施されるようになります。

これにはどのような意図があるのか、見ていきましょう。

なぜこのタイミングで変わるのか

小学校でも英語が正式な教科になる…その背景にあるのは何と言っても2020年度から始まる新大学入試制度です。

(新大学入試制度について詳しくはこちらをご覧ください)

「グローバル社会」という言葉が浸透して久しい現代社会の中で、私達は今「英語は出来て当たり前」という時代に足を踏み入れています。

いや、正確には足を踏み入れざるを得ないといった方が正しいかもしれません。

日本が抱える大きな問題の1つに少子高齢化が挙げられます。少子高齢化はすなわち労働力の減少・生産年齢人口(バリバリ働ける人たち)の減少を意味します。これは国の経済力の低下、ひいては国力の低下に直結し、このままでは日本は他国に遅れを取ることとなってしまいます。

その中で日本が今後も変わらず一定の経済力を維持していくためには、取引先や労働力の確保の面においても海外に目を向けざるを得ません。そのためには、これからの社会を生きる子どもたちにとっては義務教育の中でも英語を使いこなせるようになることが必要な力のひとつとなります。2020年、世界中から多くの外国人がやって来る東京オリンピックはこの流れに一層拍車をかけることになるでしょう。

これに対応していくためには中学校から英語の学習を始めたのでは間に合いません。そこで文部科学省(以下文科省)は、小学校から英語を正式な「教科」とすることを決めたのです。

では一体どの程度まで英語を使えるようになれば良いのか、詳しく見ていきましょう。

 

中学校卒業時に「日常会話は英語でできる」レベルに

その人が使いこなせる言語のレベルがどれくらいなのかを測る国際的なものさしの1つに「CEFR」(セファール)と呼ばれるものがあります。これは言語のレベルをA1、A2、B1、B2、C1、C2という6つのランクに分けて評価するというものです。一番下のレベルが「A1」(挨拶・自己紹介・簡単な会話ができるレベル)、一番上が「C2」(母国語レベルで使いこなせる)です。

例えば「私は英語はB1、フランス語はA1、ドイツ語はC2」と言えばその人がどの言語をどのくらい使えるのかが分かるというものです。

ちなみに、日本でお馴染みの「英検」をこのCEFRに当てはめると、3級(中学校卒業レベル)がA1、2級(高校卒業レベル)がB1あたりになります。

従来の英語教育では、中学校卒業時にA1レベル・高校卒業時にA2レベルまで身に付けることを最低限の目標としていました。

しかしそれでは先述のグローバル社会に対応していくことはできません。そこで、これからは中学校卒業時で「A2」、高校卒業時に「B1」と、従来より1つ上のランクを目標にすることを文科省は打ち出しました。

ちなみに、「A2」は「日常会話が出来るレベル」、「B1」は「英語の資料を読んだり討論が出来るレベル」です。授業は日本語ではなく全て英語で行われ、生徒同士で英語で討論をする授業風景…これが政府が描く青写真です。

そうすると当然、小学校で習う英語もこのレベルを踏まえたものになります。つまり、今回の改革は単に小学校の中だけで行われるものではなく、その後の中学・高校の英語教育も含めた教育の全体的な改革と言えるものなのです。

 

次回、後半は授業内容や使用する教材等より具体的な内容に踏み込んでお伝えしていきたいと思います。

 

まとめ

・2018年度より小学校5・6年生で英語が正式な「教科」となり、3・4年生では英語を使った「活動」が始まる。

・最大の目的はグローバル社会に対応できる人材を育成すること。

・小学校から英語を学び始め、中学卒業時には日常会話ができるレベル・高校卒業時には英語で討論ができるレベルまで引き上げることを目標としている。

 

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