先月の日経新聞にこんな記事が載っていました。

・文部科学省(以下文科省)は大学入試センター試験に代わって2020年度に始める新テスト「大学入学共通テスト(仮称)」の実施方針案と問題例を公表した。

・国語と数学は記述式問題を3問ずつ出題。

・現在のセンター試験は全問がマーク式だが記述式問題を導入する。

・英語は共通試験を廃止して民間の検定・資格試験に移行する。

・「知識偏重」から脱し、思考力や表現力を測る入試への一歩とする。

※記事全文はネット版で閲覧できます。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG15HBI_W7A510C1MM0000/

 

ご存知の方も多いかもしれませんが、今の中3生が大学受験をする年度(2020年度)より、センター試験が廃止され新しいテストが導入されます。

それが「大学入学共通テスト(仮称)」です。以前は「大学入学希望者学力評価テスト」(長い!)という名前で呼ばれていましたがまた変わったようです。が、まだ仮称…早く名前決めてよねという感じですがまあそれは置いといて・・・

 

とにかく1989年から続いたセンター試験の30年の歴史が幕を閉じ、今の中3生が高3になった年度の1月(つまり2021年1月)から、この「大学入学共通テスト」が実施されるのは確定事項です。

 

今回の発表の2つの目玉

文部科学省の今回の発表の目玉は2つです。 

1つは国語と数学で記述式問題が出ること、もう1つは英語は民間の検定・資格試験に移行することです。

が…これ、本当に実行できるんでしょうか…はっきり言って問題は山積みです。

思考力や表現力を測るために記述問題を出すという考えは分かりますが、全国何万人、何十万人が一斉に受けるテストです。果たして誰が・どうやって「記述問題」の採点を行うのか

記述ということは一人ひとりの答案の中身、誤字脱字等をチェックする必要があるということです。今回の発表では「記述問題は得点を付けずに3~5段階で評価する」とありましたが果たしてそれで公平な評価ができるのか、甚だ疑問です。

あくまでも国が行う「共通テスト」なんだから無理に記述をやろうとせず、それは各大学が作る二次試験に任せて、基本的な問題だけにした方がいいんじゃないだろうか…というのは私の持論ですが、もう確定路線なのでこの流れは変えられません。

 

もう1つの「英語は民間の検定・資格試験に移行する」もツッコミどころが絶えません。

「民間の検定・資格試験」というのはつまり英検やTOEIC(トーイック)のことです。発表の中には「文科省が指定した10種類の資格試験のうち2つまで選択して代替する」とありました。

 

???

 

複数の英語検定をどうやって公平に評価し、点数化するのでしょう。例えば英検は級別で難易度が分かれているテストですし、TOEICは「満点のうち何点取れたか」なので級別に分かれていません。試験の時期もバラバラです。

それをひとまとめにして「10種類」の中に入れるのはさすがに無理があるのでは……疑問は尽きません。更には「2020年度から全面移行する」案と「2023年度までは共通テストと併用する」案も出ておりまだまだ不透明な部分が多い段階です。

 

うーむ…

 

どう考えても、制度が馴染むまで混乱は避けられないと思います。

とにかく一番避けなければならないのは「当事者」となる今の中3生たちが迷走してしまうことです。

新入試制度については今後も動向に注目し、また新たな情報が入り次第皆様にお届けしていこうと思います。

 

「記述問題」の例

 

国語と数学の記述問題に関しては問題例がHP上に公開されています。

大学入試センターのページ

問題例のページ

 

まずは国語の問題を見てみましょう。

 国語はこのような架空の都市をモデルにし、そこで繰り広げられる出来事や問題について自分の意見を述べるというパターンが主流になりそう…なんですが…

かなり難しそう!そもそも量が多くて問題にたどり着くまでが大変!

なので、以下に分かり易くまとめてみました。

①かおるさんが住む「城見市」は昔の街並みや遺跡などが残る街です。(埼玉でいうと川越のようなイメージでしょうか)

②その街の景観を保護し、観光資源に役立てる「街づくり」の運気が高まっており、住民を対象にした説明会が行われました。

③それに参加してきたお父さんと、自宅にいたお姉さんが、街づくりのガイドラインに対して意見を言い合っています。

④市の考え…景観を損ねないために個人住宅の壁や建物を落ち着いた色にしましょう

※観光地に旅行に行くとコンビニの看板や民家の屋根が茶色になっていたりしますね。あれです

★お父さんの考え…どうせ自己負担になるんだろう。壁を塗り替えたり工事したりするのは住民への負担が大きすぎる。いっそ引っ越した方がマシだ。

★お姉さんの考え…そんなことないわ。それではどんどんこの街が衰退していってしまう。私はこの街が好きだし、ある程度の自己負担は仕方ないと思う。古い町並みと調和のとれた景観にしていけば観光客も増えて城見市は活気づくはずだわ。

これに対してお父さんが「そんなの希望的推測だ」と反論し、2人の意見は平行線をたどります。

⑤そこでかおるさんの出番です。かおるさんはお姉さんに賛成(この街を守りたい派)です。

「姉の意見に賛成し120字以内でお父さんを論破しなさい」

というのが問題です。

 

で、模範解答を見てみると…

ガイドラインには「景観を保護するために必要な予算がれば計上を検討」とあるので、住民の自己負担にならず補助金が出る可能性がある。←これを使ってお父さんに反論しましょう。

と書かれています。確かに問題(資料)をよ~く見ると書いてあります。観察力と相手の矛盾点を突く洞察力が問われます。

 

別の例題では…

①あなたは駐車場を毎月21,600円で借りることになりました。

②しかし、3ヶ月後のある日突然「24,840円に値上げします」と言われてしまいました。

③納得いきません。さて、あなたならどうやって反論しますか?契約書の内容を踏まえて40字以内で述べなさい。

こんなのも載っていました。

 

次は数学を見てみましょう。

まとめると…

①近くの公園に、地元が生んだ武将の銅像が立つことになりました。

②太郎さんと花子さんはその銅像を眺めるための「ベストスポット」はどこかを考えています。

③太郎さんは、「銅像のてっぺん」「銅像の足元」「自分の目の高さ」の3点でできる角度は鋭角(90度以下)であるべきだと考えました。

④では、その角度が鋭角であることを確かめるにはどんな方法をとればよいか説明しなさい。

という問題です。

 

答えを「選ぶ」から「創る」へ

いずれも、マークのみの現行のセンター試験とは大きく一線を画すものとなっています。

日常生活で起こりそうな身近なテーマを取り扱っているのは好感が持てますが…

やはり気になるのは「評価の仕方」です。ただこれは文科省にお願いするしかありません。受験生たちが公平に評価されることを願うばかりです。

加えてもう1つの懸念材料となるのが、「対策の仕方」です。

ご覧の通り、従来の受験勉強のように知識を詰め込むだけでは太刀打ちできなくなります。これからは「1~4の中から適するものを選びなさい」ではなく、問題をよく読み、それに対する自分の考えを表現する力が問われます。

つまり「答えを選ぶ」時代から「答えを創る」時代へと移り変わります。

 

この流れに対してアップステーションではどのような対応を施していくのか…

これについては次回のブログでご紹介していこうと思います。

 

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