学力の3要素

日本はこれまで、「詰込み型」の教育によって一定の成功を収めてきました。戦後の高度経済成長に見られるように、日本の経済を発展させてきたのは上の写真のような工業、つまり物づくりです。

日本人はその特性を生かし、集団で物を作り、皆で力を合わせ期日までにきちんと終わらせることで確かな発展を遂げてきました。日本製の自動車やパソコン(トヨタ、パナソニック、SONY等)が世界中で売れまくっているのはまさにその賜物と言えます。

当然、物づくりの現場で求められる人材は「集団行動(周りと同じ行動)ができる人」です。

すると学校教育も「そういう人材を育成していこう」という方針になり、これまでの日本の教育現場では「一斉指導」や「個よりも和を重んじる教育」が行われてきました。皆と同じ教科書を使い、皆と同じことを覚え、皆と同じペースで成長していく…詰込み型の画一的教育が、日本の経済を支えてきたのです。

もし、日本が国内だけで十分な雇用を確保し続け、経済力を保ち続けていたのであればこのままでも良かったのかもしれません。

 

しかし時代は変わりました。

 

日本の生産年齢人口は減り、国力は衰え、外に目を向けざるを得ない状況=今度は外国人と力を合わせて日本経済を発展させていかざるを得ない状況に変わっていったのです。

そこで文科省は、これからの時代に必要な学力を「学力の3要素」と名付け、打ち出しました。それが

①知識・技能

②思考力・判断力・表現力

③主体性・多様性・協働性

です。

 

 

今までの大学入試は主に①を測るものでした。

思えば大学入試のみならず、小学校のカラーテストでも高得点を取る秘訣は「暗記」だったのです。どれだけきちんと九九を暗記できたか、どれだけ多くの単語を暗記できたか、つまりどれだけの知識を頭に詰め込むことができたかがテストの点数を決めてきました。勉強=暗記だったのです。

しかしこれからの時代は、従来の「知識・技能」を身に付けるだけでなく、「それらを使って自ら考え、表現する力」(思考力・判断力・表現力)と「様々な考えを持った人たちと一緒に問題解決に向かう姿勢」(主体性・多様性・協働性)が必要だという考えが支持され、大学入試もこれらの能力を測るテストへと変貌をとげることになったのです。

そんな学力の3要素を測るテストが、

  • 高等学校基礎学力テスト
  • 大学入学共通テスト
  • 各大学で行われる独自のテスト

の3つです。名称が長ったらしいので… 

  • 基礎学力テスト

  • 共通テスト

  • 大学別独自テスト

としますね。

この中の「共通テスト」が、従来のセンター試験に代わるテストになります。

(余談ですが…少し前までは「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)と呼ばれていました。あまりにむつかしいので早く短い名前にしてくれないかなと思っていたらようやくそうなりました。今後おそらく「共通テスト」という名称で落ち着くものと思われます)

 

話を戻します。

 

文科省はこの3つのテストのうち、

  • 基礎学力テストでは「知識・技能」を、
  • 共通テストでは「思考力・判断力・表現力」を、
  • 大学別独自テストでは「思考力・判断力・表現力」と「主体性・多様性・協働性」を測る

としています。基礎学力テストは高2生からの実施を検討しており、まだ正式な発表はありませんが実際の合否には使わず、あくまでも実力判定用という方向で進められています(北辰テストのようなイメージになると思います)

 

大学の合否に直結するのが共通テストと大学別独自テストです。次号で詳しく見ていきましょう。

 

~まとめ~

・これからの時代に必要な学力の3要素=「知識」「思考力」「主体性」

・新大学入試はこれら3つを測るものとなる。基礎学力テストで「知識」を、共通テストで「思考力」を、大学独自テストで「思考力」と「主体性」を測定する。